MISO JOURNAL
日本各地の味噌蔵さまを深堀りしていくMISOTIMES。
今回は「甲州やまごみそ」を製造されている五味醤油(山梨県)の五味様にお話を伺いました。
目次
山梨ならではの地形から生まれた味噌作り
現代では珍しい木桶仕込みの天然醸造理
発酵文化を次の世代へ伝えたい
山梨ならではの地形から生まれた味噌作り
MISOVATION「甲州みそとはどのような味噌なのですか?」五味様「味噌は麹に何を用いるかで種類は変わっていきます。米こうじを使用した米みそ、麦こうじを使用した麦味噌など。甲州みそは、上の種類に当てはまらない、米と麦2種類のこうじをミックスした"調合みそ"です。仕込みの段階から2つのこうじを入れる全国的にも珍しい醸造方法を代々受け継いで行っています。ベースはさっぱりとした米みそに、麦みその甘みと風味が加わった、しつこくないまろやかな味が特徴です。」MISOVATION「既に出来上がった米みそと麦みそを混ぜて作られるものだと思っていたのですが、仕込み段階からこうじをミックスして作られているのですね...!」五味様「実は甲府は狭い盆地で斜面が多く、稲作に適していない場所でした。そのため米の収穫が少なく、関東地域で一般的であった"米みそ"を仕込む十分な量がありませんでした。そこで、米の裏作でつくった大麦で麦こうじをつくり、米の不足分を補うことで"甲州みそ"が生まれたと言われています。この田畑の裏作は戦国時代武田信玄がいたころから始まったと言われています。そして、兵隊が進軍するときに食べ物の腐敗を防ぐ味噌は、携帯食に欠かせない調味料であったと文献に記されています。"甲州みそ"は約500年の歴史とともに庶民の食卓を支えてきた山梨の味になります。」
現代では珍しい木桶仕込みの天然醸造理
MISOVATION「非常に歴史を感じる味噌ですね。また、現在も木桶で味噌を作っていると聞き、非常に珍しいなと思いました。」五味様「甲州やまごみそは戦後から変わらずに使っている木桶にて仕込みを行っております。木桶に住み着いた菌がみその味の決め手になります。何も添加していない昔ながらの作りなので、木桶毎、仕込み毎、発酵期間や、その年の天候によって風味も少しずつ変ってきます。天然醸造ならでは味噌との一期一会を楽しんでいただければと思います。」
発酵文化を次の世代へ伝えたい
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MISOVATION「味噌や発酵の文化を広める活動にも注力されていますよね。」五味様「自社のこうじを材料にした"手前みそづくり"の普及活動に力を入れています。幼稚園保育園の子どもたちやそのお母さん、学生さんや、公民館の催しまで、世代を越えた様々な人たちと一緒に体験することを大切にしています。味噌や様々な食の体験を通して、発酵文化の素晴らしさを語り続ける"まちのみそ屋"でありたいと願っています。」MISOVATION「素敵なビジョンですね。甲州みその歴史や特徴を生で体感できて大変勉強になりました。ありがとうございました!」
いかがでしたでしょうか?これからもMISOVATIONでは日本各地の味噌蔵様の味噌造りにかける想いやこだわり、魅力などを発信していきます。
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