【MISOTIMES】「やっぱりこの味噌がいい。」オーダーメイド味噌で家庭の味を支える / 山口こうじ屋

【MISOTIMES】「やっぱりこの味噌がいい。」オーダーメイド味噌で家庭の味を支える / 山口こうじ屋

日本各地の味噌蔵さまを深堀りしていくMISOTIMES。

今回は山口こうじ屋(佐賀県鹿島市)の6代目 山口正治様、山口ひとみ様にお話を伺いました。

 目次

「麹屋」にとらわれず、さまざまな事業を展開した

世代を超えたオーダーメイドの味噌づくり

味噌を使うハードルが少しでも下がるように

  

「麹屋」にとらわれず、さまざまな事業を展開した

MISOVATION「山口こうじ屋さんの歴史について教えてください。」

正治様「安政年間の創業以来、今年で163年を迎え、私で6代目となります。父の代では麹屋としての仕事がどんどん減っていったため、雑貨屋や食用油屋、お菓子屋の事業を並行して展開しておりました。最近は塩麹や腸活ブームの影響もあり、お客様が持参された大豆やお米をお預かりし、味噌に加工してお渡しする、『受託製造の味噌づくり』をメインに行っています。」

MISOVATION「これまでの味噌の消費量には、時代によって変化などはありましたか?」

ひとみ様「昔は家族の人数も多かったので、一世帯あたりの味噌の消費量も多かったです。バブルの時代になると男性を中心に外食が増え、味噌の消費は減少しました。ただ、バブル後など景気が悪くなってくると家族で味噌汁を食べる機会が増え、それに伴って味噌の消費も増える、といった傾向がありましたね。」

世代を超えたオーダーメイドの味噌づくり

MISOVATION「山口こうじ屋さんの特徴について教えてください。」

正治様「鹿島市近辺は米どころということもあり、農家や一般のお客様から預かったお米を使って味噌を作る、受託加工をメインに行っています。基本的に1件ずつ作っているため、塩や大豆の分量を調整するといった細かなご要望にも対応しています。お客様によって味が少しずつ異なる味噌が仕上がるため、その保存方法や使い方も少しずつ変わってくるんです。そのため、お味噌を渡す際には、より長くおいしく味噌を食べてもらうための方法を口頭で丁寧に伝えるという工夫しています。また、お客様が過去にどのような注文があったかを把握できるよう、過去20年間にいらっしゃったお客様の注文内容をすべて手書きのノートに記録してあります。」

MISOVATION「パソコンでの管理が主流になってきている今、すべてアナログで細かく記録しているのはとても珍しいです。まさにオーダーメイドの味噌づくりですね。」

正治様「お客様は地元の方が中心で、直接買いに来てくださったり県外に住むご家族のためにうちの味噌を送られたりしています。お客様が代替わりするタイミングで一時的に来なくなってしまうこともあるのですが、『やっぱりここの味噌がよかった』と戻ってきてくれる若い方もいらっしゃるのが印象的ですね。」

MISOVATION「おいしさはもちろん、丁寧で一人一人のお客様に寄り添った対応が、山口こうじ屋さんの味噌が世代を超えてリピートされている秘密なのかもしれないですね。」

味噌を使うハードルが少しでも下がるように

MISOVATION「今後やってみたいことについて教えてください。」

正治様「先代から受け継いだ仕込みの技術を大事に継承しつつ、家内と協力して、みんなが味噌をもっと気軽に使えるような取り組みをしていきたいと考えています。」

ひとみ様「私自身、専門的な知識があるわけではないのですが、長くこの仕事に携わってきた経験を活かして、日常生活の中で役立つ味噌の使い方をお客様に伝えていきたいと思っています。味噌や甘酒などの発酵食品というと、健康意識が高い人が使っているイメージがあるかもしれませんが、全然そんなことはありません。日常生活で役立つような味噌の活用法はたくさんあるんです。例えば、お家にある味噌で味噌玉をつくっておけば、お湯を注ぐだけで簡単に塩分補給ができます。ですから、お店に来ていただいた際は、こうしたちょっとした工夫をお客様に伝えて、皆様が味噌をもっと身近に感じていただけるようになればいいなと思っています。」

MISOVATION「地元の方の味噌文化を後世に受け継ぐきっかけとなり続ける、山口さんの姿勢がとても刺激になりました。本日はありがとうございました!」

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いかがでしたでしょうか?
これからもMISOVATIONでは日本各地の味噌蔵様の味噌造りにかける想いやこだわり、魅力などを発信していきます。