【MISOTIMES】赤みそなのに塩分控えめ!? 秘密は“温泉パワー” / マルシチ津軽味噌醬油

日本各地の味噌蔵さまを深堀りしていくMISOTIMES。
今回は「蔵自慢 赤みそ」を製造されている津軽味噌醬油(青森県南津軽郡)の工場長 阿部様、三浦様にお話を伺いました。
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全国でも類を見ない"温泉醸造"
MISOVATION「マルシチ津軽味噌醬油さんの特徴を教えてください。」
阿部様「青森県津軽地方の南端にあり、日本の名湯としても知られる大鰐温泉がありますが、その地域で、昔ながらの蔵で味噌を造っています。現在、13名の会社です。大鰐温泉は開湯800年以上の歴史があり、江戸時代には津軽藩の歴代藩主も湯治場として訪れ、長く津軽地方の人々に愛されてきました。弊社は、明治43年(1910年)に青森県大鰐町で味噌づくりをスタートさせたのですが、温泉の熱を利用して発酵させる"温泉醸造"という、全国でも類を見ない製法で造っているのが1番の特徴です。」
MISOVATION「温泉醸造!非常に珍しいですね。」
阿部様「全国的にも珍しいと思います。この辺りは、穴を掘れば温泉が沸いてくる町なんですよ。」
戦前から研究し続けた発酵技術

MISOVATION「津軽味噌といえば、長期熟成・赤みそ・塩分高めで辛口の印象があるのですが、ほかの津軽味噌と何か違いがあるのでしょうか。」
三浦様「同じ赤みそなのですが、短期熟成で塩分が控えめです。自然の気候の中で発酵させる一般的な天然醸造だと、美味しい赤みそをつくるのに1年ほどかかります。1年ほど発酵させるため、雑菌を防ぐためにある程度の塩分濃度が必要になるんです。ただし、私たちの温泉醸造ですと、温泉の熱で発酵が早く進み、約3ヶ月で味噌ができあがります。発酵期間も短いため、塩分控えめでつくることができるんです。」
MISOVATION「今でこそ塩分控えめがブームですが、味噌の工業化が進む何年も前からこのような製造方法を編み出したのは凄いですね...。」
阿部様「そうですね。今ではどの温度でどれくらい発酵させれば美味しくなるか、がかなり分かってきていますが、この発酵具合については戦前からずっと研究されていたそうです。そもそも温泉熱という温度調節が難しい自然発生の熱を利用し、今ほど技術が発展していない時代から味噌づくりに取り組んでいたと思うと、開業当時は大変だったと思いますね。」
地元の食材にこだわる

MISOVATION「これだけ長く歴史のある味噌ですが、やはり昔と比べて消費量は減ってきていると感じますか?」
阿部様「昔に比べると出荷量は減りましたし、食文化も変わってきましたよね。入社時は今と違って毎日仕込みをしていたのを覚えています。」
MISOVATION「今後も注力したいポイントについて教えてください。」
阿部様「青森県産にこだわる、というところでしょうか。味噌に使用している大豆も青森県産の”おおすず”という大豆です。そのほかにも、ほたて1個をまるまる使用したフリーズドライの味噌汁を販売しているのですが、直近でほたてが輸出できない、ほたてが余っている、というニュースがありましたよね。その時は弊社のほたての味噌汁も消費が増えたんです。地元の食材をより身近に楽しんでいただいた実感があります。」
MISOVATION「温泉醸造という伝統と一緒に、地元の食材を盛り上げたいという熱い気持ちが伝わりました。お話を聞かせていただきありがとうございました!」
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いかがでしたでしょうか?
これからもMISOVATIONでは日本各地の味噌蔵様の味噌造りにかける想いやこだわり、魅力などを発信していきます。